輸入過程全体
1. 育苗
新たな農園での植え付けには、優良な株から組織培養によって増やした苗を用います。
幼い苗を土とともにビニールポットに入れ、数週間育てます。




2. 植え付け
よく耕した畑に、苗を規則正しく植え付けます。
バナナ栽培に適した環境
- ・土壌:ローム質の砂質土壌 有機物が豊富で、最小限の傾斜で、
良好な水分レベルを維持し、水はけが良いこと。 - ・降雨:週間当たり50mmの降雨、年間2500㎜
- ・平均気温:26℃~27℃
- ・台風や強風がない土地


3. 成育
畑へ植え付け後、バナナの苗はぐんぐん大きくなり、大きな葉が四方に広がります。
散水
雨量の少ないところでは散水器によって水分を補給します。


4. 開花・結実
畑に植え付けてから7か月くらいになると、苞(ほう)で覆われたふくらみがあらわれ、しだいに垂れ下がり、赤紫色の巨大な筆先のようになります。
苞(ほう)が外側にめくれると、バナナの実とその先端の白い花が顔をだします。


外側からめくれる


(バナナハート)
5. 袋がけ
バナナの実に虫がつくのを防ぐため、全体に袋をかけます。


キズ防止


6. 収穫・運搬
収穫
畑へ植え付け後9か月くらいたつと、ひとつひとつの実も十分に成育し、収穫時期を迎えます。バナナは、まだ青くて硬いうちに収穫されます。収穫は、バナナを傷つけないように2人1組で行われます
運搬
収穫されたバナナは、畑の中に張り巡らされたケーブルに吊り下げられ、パッキング場まで運ばれます。
運搬中に、いくつかの房を抜き取り、きちんと成長しているか品質検査を行います。


吊り下げている様子

7. 水洗・選別
水洗い
パッキング場に運ばれたバナナを、水槽の中で水洗いし、チリや埃、切り口からしみ出てくる果樹液などを洗い落とします。


樹液などを洗い落とす
選別

水洗い後、バナナの傷や形をチェックします。さらに軸の部分をきれいにカットして整えます。
8. 計量・箱詰
1箱13.0kgになるように重さを量ります。
計量したバナナを箱に詰め、再度重さを量ります。合格したものには、箱に識別番号を記し、万一、何か問題が起こったときにもすぐに対応できるようにします。



9. 輸出検査
トラックに積み込む前に病害虫の検査が行われます。合格したバナナには植物検疫証明書が発行されます。


10. 船積・出港
港に到着したバナナは、品質検査が行われ、*保冷船に積み込まれた後出港します。輸送中は常に13~14℃に保たれます。



*輸送中にバナナが熟してしまわないように温度管理された冷蔵船。船倉の温度は常に12~14℃に保たれている。
11. 輸入検査
日本に到着したバナナは、港に隣接した保税倉庫に搬入されます。その後、植物防疫法に基づいた病害虫の検査、食品衛生法に基づいた残留農薬検査等が行われます。
両方の検査に合格したバナナは、通関を経て、輸入されます。


12. 追熟
輸入されたばかりの青いバナナは、室(ムロ)(*1)と呼ばれるところで追熟(*2)され、黄色くなります。室は、温度・湿度などが管理された熟成室で、バナナはここで少量のエチレン(*3)(植物ホルモン)を与えられ、おいしく熟成するのを待ちます。



*1 バナナを追熟する倉庫。温度や湿度などコンピュータにより管理されている。ここで3~4日かけて熟成されてから店頭に並ぶ。
*2 収穫後、果物の熟成を促し、食べ頃の状態にすること。バナナの場合は、温度・湿度をコントロールされた室で、少量のエチレンを与えながら行う。
*3 植物自身(バナナも含む)が作りだす植物ホルモンの一種。植物の成長に重要な役割を果たす。果物に与えると、熟成を促進する働きがあるため、青いバナナを黄色く熟させるときに使用される。
13. 店頭
配送

*追熟したバナナはトラックに積まれ、各地へ出荷されます。
* 収穫後、果物の熟成を促し、食べ頃の状態にすること。バナナの場合は、温度・湿度をコントロールされた室で、少量のエチレンを与えながら行う。
店頭から食卓へ

各地へ届けられたバナナは、スーパーなどの店頭を通じてみなさんの食卓に並びます。