食べやすさや栄養価に再注目!コロナ禍で人気急上昇中のバナナに関する臨床試験 バナナを食べることで日本人に不足しがちな血中マグネシウムの増加、腸内フローラの改善が期待 ~バナナの長期摂取がヒト腸内フローラおよび血液生化学に与える効果の研究~

このたび、日本バナナ輸入組合(所在地:東京都千代田区内神田1-3-1 トーハン第3ビル2階、理事長:ケナード・ウォング、以下「当組合」)は、バナナについての下記の研究が論文化されたことを発表いたします。

この研究は、赤坂ファミリークリニック院長・東京大学医学部附属病院医師の伊藤明子先生らの研究グループにより、2020年に実施した研究で、バナナの長期摂取で血液中のマグネシウム量が有意に増加、腸内フローラにおいて有用な細菌叢(さいきんそう)の増加および望ましくない細菌叢が減少するという結果が明らかになりました。

本臨床試験の論文は、『薬理と治療』2021年2月20日号にて出版されました。
(Jpn Pharmacol Ther vol. 49 no. 2 2021)

本臨床試験の背景

バナナは様々な栄養素を豊富に含んでおり、入手しやすく食べやすい果物です。当組合が2005年から毎年実施している「バナナ・果物消費動向調査」では、16年間連続『よく食べる果物』第1位がバナナであるとわかっています。そんな国民的フルーツとも言えるバナナですが、2020年のバナナ輸入総額は過去最高を記録し、コロナ禍でさらに人気が高まっています。その理由として、皮を剥くだけで直接手を触れずに食べることができる衛生面や手軽さ、様々な健康効果が推察されます。

■参考:「第16回 バナナ・果物消費動向調査」
https://www.banana.co.jp/database/trend-survey/docs/trend16.pdf

特に健康効果については、消化促進作用や抗酸化作用、免疫力を高める作用など多岐にわたる分野の研究が発表されており、ヒトにおいても複数の研究が行われています。一方、バナナ長期摂取による腸内フローラへの変化についての研究論文は限られており、日本人における臨床試験は今までありませんでした。

このたび、日本人の健康な成人男女を対象に、バナナを4週間毎日摂取する前と後の腸内フローラやその他の健康面の変化を調べる研究が行われました。

本臨床試験の概要

30歳以上64歳未満の健康な男女28名をバナナ摂取群(バナナを生で1日に可食部120g摂取)とバナナ非摂取群(通常の食事のまま)の2群にランダム化して分け、4週間の摂取期間の前と後の、体組成・血液検査・便検査・糖化度検査の結果を解析した臨床試験を行いました。

本臨床試験結果のポイント

腸内環境の改善が期待できる

複数の悪玉菌や炎症起因菌がバナナの摂取群で減少していました。悪玉菌の減少により、腸内環境の改善が期待できます。また、腸内環境の改善により、ミネラル吸収の改善や蠕動(ぜんどう)運動の改善、間接的に免疫力の向上が期待できます。

今回の研究では下記の結果がみられました:

*バナナ摂取群でBilophila属が減少していました。一般にBilophila属は悪玉菌に属すと考えられているので、Bilophilaが減ったことはよいことと解釈できます。
*バナナ摂取群でMegasphaera属が減少しました。Megasphaera属の菌は、ビールを変敗させてしまう作用をもつものが知られています。また、歯肉炎の起因菌の一つとしても報告されています。ただ、Megasphaeraの中には消化不良による下痢を抑制するものもあります。
*バナナ摂取群でParabacteroides属が減少しました。Parabacteroidesは、血液の中に有害な細菌が増えてしまう致死性の病気、菌血症の起因菌の一つと報告されています。

マグネシウムが有意に増加

血液検査でクレアチニン、マグネシウム、赤血球数、ヘマトクリットなどの項目がバナナ摂取群で有意に増加していました。特にマグネシウムは多くのヒトで不足しているミネラルであり、近年その健康効果が注目されている必須ミネラルのひとつです。マグネシウムが不足すると、骨粗しょう症、神経疾患、精神疾患、不整脈、心疾患、筋肉収縮異常などの疾患を引き起こす可能性があります。免疫にも関与する大事なミネラルです。

日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日のマグネシウムの推奨量を18~29歳男性で340㎎、30~49歳男性で370㎎、50~69歳男性で350㎎で、18~29歳女性で270㎎、30~69歳女性で290㎎と設定しています。一方、令和元年の国民健康・栄養調査では、男性で平均261 ㎎/日、女性で平均235 ㎎/日摂取していることがわかっており平均120㎎以上のマグネシウムが毎日不足していると推定されます。

■参考:令和元年の国民健康・栄養調査
https://www.mhlw.go.jp/content/000710991.pdf

収縮期血圧が群間比較で低下

バナナ摂取による降圧作用は先行研究でも報告されており、米国心臓協会でもDASH食(血圧を下げるための食事療法)の一食材としてバナナが推奨されています。本臨床試験でも、バナナの摂取で血圧を下げる作用が期待できることがわかりました。

赤血球数とヘマトクリット値が増加

バナナに含まれるビタミンB6などの栄養素は造血や赤血球成熟に不可欠な栄養素です。バナナの摂取により、造血・赤血球成熟が促進された可能性があります。

BMI高値の試験参加者において体重が少し減少

バナナ摂取群の中でBMIが24以上のヒトにおいて、体重が減少する結果となりました。

その他のバナナの栄養素と機能について

バナナには、多彩に含まれる栄養成分の働きやその構成によって、「ダイエット効果」など、現代人に求められる様々な健康機能が期待できます。

期待される健康作用 関連する栄養素・内容
整腸作用 バナナに含まれている食物繊維・難消化性デンプンが腸の働きを整えます。特に「青めのバナナ」にその機能が顕著に期待されます。
代謝促進作用 バナナはカリウムを豊富に含んでいます。このカリウムには、高血圧の原因となるナトリウムや老廃物を尿とともに体外へ排出させる作用が期待されます。汗や尿でナトリウムが排出されるとき、カリウムも同時に排出されますが、バナナ1本で360mgのカリウムを補給できます。
運動時の効果的な
エネルギー補給
バナナにはブドウ糖、果糖、ショ糖、デンプン、難消化性デンプンなど吸収される速度の違う糖が含まれており、運動前、中、後と時間差で体にエネルギーを補給します。アスリートにとってバナナは頼もしいサポート食品です。
アタマのエネルギー源 脳の直接的なエネルギーとなるのはブドウ糖だけですが、特に黄色バナナには即効性のあるブドウ糖と、それを持続的に供給するスクロースやデンプンが含まれています。脳は就寝中でもブドウ糖を消費し続けるため、朝起きた時にはエネルギー不足。バナナは、栄養があるだけでなく手軽に食べられるので、忙しい朝にも最適の食べ物です。
脂肪燃焼作用 バナナに含まれるビタミンB類や必須アミノ酸には、脂肪燃焼を促進する働きがあるものがあります。バナナはダイエット食品としても注目されています。特に昨今では「朝バナナダイエット」が話題になり、多くの人に実践されています。

伊藤 明子先生 のプロフィール

伊藤(いとう明子みつこ) 先生

赤坂ファミリークリニック院長・東京大学医学部附属病院小児科医
小児科医、社会医学系専門医(公衆衛生の専門医)。

東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。NPO法人Healthy Children,HealthyLives代表理事。

有限会社アクエリアス代表取締役社長(同時通訳・国際会議運営)、同時通訳者、医学系学会での会議通訳、米国大統領をはじめ多々の国賓の通訳に従事。東京外国語大学卒、帝京大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科卒。近著に「医師がすすめる抗酸化ごま生活」アスコム。2児の母。多数のテレビに出演、雑誌メディア掲載。